小型船舶免許は1級と2級どっち?違いと後悔しない選び方

小型船舶免許を取ろうと思ったとき、最初に迷うのが「1級と2級、どっちを取ればいいのか」です。

結論から言うと、海釣り・湾内クルージング・マリンスポーツが目的なら、まずは2級で十分です。1級が必要になるのは、外洋航海や5海里を超える離島への航行など、目的がはっきりしている人です。

先に判断基準を置くと、次のようになります。

  • 沿岸の釣り・レンタルボート・家族とのクルージング:2級
  • 外洋の釣り・遠い離島・本格的な航海:1級
  • まだ使い方が決まっていない:2級から始めて、必要なら1級へ進級

この記事では、1級と2級の違いを比較表で整理し、費用・難易度・できることの差までまとめます。2級を選ぶなら、まずは学科教本と問題集をそろえて、出題パターンを早めにつかむのが近道です。

目次

結論:迷ったら2級で始めるのが一番失敗しにくい

小型船舶免許の1級と2級で一番大きく違うのは、操縦できる船の大きさではなく、海岸からどこまで航行できるかです。

  • 2級:海岸から5海里(約9.26km)以内と平水区域
  • 1級:原則すべての水域

5海里は、数字で見るよりかなり広い範囲です。湾内のクルージング、沿岸の釣り、ウェイクボードやウォータースキー、レンタルボートの利用なら、2級で足りる場面がほとんどです。

一方で、1級は「いつか使うかも」で取るより、5海里を超えて航行する予定がある人が取る免許と考えた方が現実的です。1級は学科に上級科目が追加され、海図を使った航海計画や気象、機関の知識まで問われます。

そのため、初心者が最初に選ぶなら「2級を取る → 実際に海で使う → 必要なら1級へ進級」の順番が無駄になりにくいです。

1級・2級の違いを一覧表で比較

比較項目 2級 1級
航行できる範囲 海岸から5海里以内、平水区域 原則すべての水域
操縦できる船 総トン数20トン未満など 2級と同じ
水上オートバイ 操縦不可(特殊小型が必要) 操縦不可(特殊小型が必要)
学科試験 一般科目50問 一般科目50問+上級科目14問
合格基準 合計33問以上、かつ各科目50%以上 一般33問以上+上級10問以上、かつ各科目50%以上
実技試験 あり あり(2級と同内容)
難易度 初心者向け 上級科目ぶん難しい
国家試験手数料 30,300円 35,450円
向いている人 沿岸の釣り、クルージング、レンタルボート 外洋、遠い離島、本格的な航海

注意したいのは、1級を取っても水上オートバイは操縦できない点です。ジェットスキーなどに乗るなら、1級・2級とは別に「特殊小型船舶操縦士」が必要です。

また、1級は「完全に何でも自由」という意味ではありません。乗る船自体の航行区域や設備の制限があり、帆船以外の小型船舶で沿海区域の境界から80海里を超えるような航行では、一定の機関資格を持つ人の乗船が必要になる場合があります。

2級でできること・できないこと

2級でできること

  • 湾内・沿岸でのクルージング
  • 海釣り(海岸から5海里以内)
  • ウェイクボード・ウォータースキーなどのマリンスポーツ
  • 川・湖・ダムなど平水区域でのボート操縦
  • レンタルボートの利用(免許が必要な船種)

2級でできることを一言でいうと、一般的なレジャー利用のほとんどです。休日に友人や家族と海に出る、沿岸で釣りをする、マリーナでレンタルボートを借りる、といった使い方なら2級で十分です。

2級でできないこと・注意点

  • 海岸から5海里を超える航行
  • 外洋への本格的な航海
  • 5海里を超える離島への渡航
  • 水上オートバイの操縦

「釣りで少し沖に出たい」くらいなら2級で足りることが多いですが、釣り場が5海里を超える場合は1級が必要です。

重要:瀬戸内海・紀伊水道でも、2級では航行できない場所があります。
JCIの平水区域・沿岸区域図を見ると、たとえば淡路島と小豆島の間和歌山と徳島の間などには、2級小型船舶免許では航行できない水域があります。
また、福岡県・大分県・山口県・広島県・愛媛県に囲まれた海域にも、2級免許では航行できない区域があります。瀬戸内海西部・周防灘・伊予灘周辺を航行する予定がある人も注意が必要です。
「島が見える」「対岸が近そう」と感じても、航路上に5海里を超える水域が入る場合があります。瀬戸内海や紀伊水道で離島・対岸へ向かう予定がある人は、出航前に必ずJCIの参考図で確認してください。

よく行くマリーナ、釣り場、離島が決まっているなら、事前にJCI(日本小型船舶検査機構)の航行区域参考図で確認しておきましょう。エリアを選ぶだけで、2級で関係する平水区域・沿岸区域の参考図をPDFで確認できます。

2級船舶免許で航行可能な範囲をエリア別に確認する:JCI 平水区域・沿岸区域の参考図

より詳しく確認したい場合は、海上保安庁の地図サービスや海図もあわせて確認してください。

2級船舶免許で航行可能な範囲を地図で確認する:海上保安庁「海しる」

2級船舶免許で航行可能な範囲を海図で確認する:海上保安庁 海洋情報部

なお、「免許なしで乗れる範囲」については別記事で解説しています。

免許がなくてもボートを操縦できる水域

1級でできること(どんな人に必要か)

1級は、2級の5海里制限を超えて航行したい人向けの免許です。次のような目的があるなら、最初から1級を検討する価値があります。

  • 外洋での本格的な釣り(カツオ・マグロなど遠洋魚を狙いたい)
  • 離島への船旅(海岸から5海里以上離れた島へ渡る)
  • 外洋ヨットレースへの参加
  • 将来的に船を仕事で使いたい(海技士資格へのステップ)

ただし、1級を取っても実技試験の内容は2級と同じです。難しくなるのは学科の「上級科目」だけで、上級科目では航海計画・気象・海象・機関の取り扱いなどが追加されます。

趣味の範囲で海を楽しむ目的なら、1級の上級科目で学ぶ知識を日常的に使う場面は多くありません。明確に外洋へ出る予定がないなら、2級から始める方が勉強時間も費用も抑えられます。

試験の難易度・費用の違い

学科試験の違い

2級の学科試験は「一般科目」のみで、小型船舶操縦者の心得および遵守事項、交通の方法、運航の3分野から出題されます。問題数は50問で、合格には合計33問以上の正解に加えて、各科目で半分以上の正解が必要です。

1級は一般科目に加えて「上級科目」が追加されます。上級科目は14問で、合格には10問以上の正解が必要です。上級科目では以下の内容が問われます。

  • 上級運航Ⅰ:航海計画、救急・応急処置、気象・海象
  • 上級運航Ⅱ:エンジンの構造と取り扱い

上級科目は専門的な内容が含まれるため、独学でも対応できますが、2級より勉強時間が多く必要です。特に海図問題は、テキストを読むだけではなく、実際に三角定規やディバイダを使って解く練習が必要になります。

費用の違い

国家試験手数料と教材費の目安は以下のとおりです。

費用の内訳 2級 1級
身体検査 4,250円 4,250円
学科試験 4,850円 10,000円
実技試験 21,200円 21,200円
国家試験手数料の合計 30,300円 35,450円
テキスト・問題集 3,000〜6,000円前後 5,000〜9,000円前後

スクールを利用する場合は、地域や講習形式によって差がありますが、2級より1級の方が高くなるのが一般的です。独学で学科を進めるなら、まず問題集を1冊決めて、同じ問題を繰り返し解く方が効率的です。

独学で取得する方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

ボート免許:独学でも取れる!!

2級向けおすすめ教材(学科教本+問題集のセット):

2級を取ってから1級に進む方法(ステップアップ)

2級を取得したあと、必要になったタイミングで1級に進む方法があります。これを「進級(ステップアップ)」と呼びます。

進級の特徴:
– すでに2級を持っていれば、上級科目を中心に学習できる
– 実際に2級を使ってから、1級が本当に必要か判断できる
– 最初から1級を選ぶより、勉強の負担を分けられる

迷ったときのおすすめの考え方:

まず2級を取って海に出る → 5海里の制限を感じたら1級へ進級する

この順番が最も無駄になりにくいです。最初から外洋に出る予定がない人が1級を取ると、費用と勉強時間だけが増えて、実際には2級の範囲しか使わない可能性があります。

よくある質問(FAQ)

Q. 初心者はいきなり1級を取った方が得ですか?

A. 外洋や5海里を超える離島へ行く予定がはっきりしているなら、いきなり1級でも問題ありません。ただし、沿岸の釣りやクルージングが目的なら2級で十分です。1級は上級科目の勉強が増えるため、使う予定がないなら最初は2級の方が効率的です。

Q. 2級を取ってから1級に進級するのは難しいですか?

A. 1級の上級科目(学科のみ)に合格すれば進級できます。実技の再試験は不要です。独学でも対応できる難易度ですが、2級取得後に日を置かず受験すると勉強内容が残っているため合格しやすくなります。

Q. 海釣りが目的なら1級と2級どちらが向いていますか?

A. 沿岸・沖合の釣りなら2級で十分なケースが多いです。5海里(約9.26km)はかなりの距離があり、一般的な海釣りの目的地はカバーできることが多いです。カツオやマグロを狙う遠洋釣り、海岸から5海里を超えるポイントへ行く釣りなら1級が必要になります。

Q. 1級と2級で操縦できる船の大きさは違いますか?

A. 基本的には同じです。1級と2級の主な違いは船の大きさではなく、航行できる水域です。ただし、水上オートバイは1級・2級では操縦できず、特殊小型船舶操縦士が別途必要です。

Q. ボート免許の学科試験は独学で合格できますか?

A. 2級であれば独学でも十分合格できます。問題集を繰り返し解く方法が最も効率的です。学科の勉強方法はこちらの記事で解説しています。

Q. 特定操縦免許は1級・2級とは別に必要ですか?

A. はい、別途必要です。旅客船や遊漁船など、人を乗せてお金を取る営業目的で船を操縦する場合は、1級・2級に加えて特定操縦免許が必要になります。詳しくはこちらをご確認ください。

Q. 試験に合格してから免許証が届くまでどれくらいかかりますか?

A. 申請から約2〜3週間が目安です。合格後に必要書類を揃えて申請します。

Q. 2024年の制度変更で何か変わりましたか?

A. 2024年(令和6年)から特定操縦免許制度の内容が変更されています。通常の1級・2級の航行区域や、この記事で説明している基本的な違いは変わっていません。詳細はこちらの記事をご確認ください。

まとめ:迷ったら2級から始めるのが現実的

小型船舶免許の1級と2級で迷ったら、まずは「自分が5海里を超えて航行する予定があるか」で考えると決めやすくなります。

  • 沿岸の海釣り・クルージング・マリンスポーツが目的 → 2級で十分
  • 外洋・遠い離島・本格的な航海が目的 → 1級を検討
  • どちらか迷う → 2級を取って、必要なら1級へ進級

試験勉強を始めるなら、まずテキストと問題集を1冊ずつそろえるのが最短です。最初から完璧に理解しようとするより、問題集で出題パターンをつかんでからテキストに戻る方が、学科試験対策は進めやすくなります。

独学で合格を目指す人向けの勉強方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

ボート免許:学科試験の勉強方法

ボート免許:独学で取る方法

2級を独学で取るなら、この2冊から始めましょう:

スポンサーリンク
レスポンシブ




レスポンシブ




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レスポンシブ